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岡田先生米寿のお祝い

小林 實(2期)

私は、亡くなった松延と同期で、もっぱら演奏会の準備など会のマネージャー役をやっておりました。楽友会の男子メンバーが始めて夏季合宿を行ったのは、私に縁のある山形県鶴岡でした。NHK鶴岡放送局でローカル放送に出演しましたが、その際のアナウンサーが若き日の小川さん(↓)であったことも懐かしく思い出されます。


 
                                   

(編注:第1回合宿時の写真。この合宿は鶴岡市在住の小林ファミリーのご尽力で実現したものです。令妹の喜久子さんも、女子高1年生の楽友会員として側面サポートしてくださいました) ⇒ 第1回合宿記事

岡田先生は高校の担任でもあり、音楽の授業もきわめて厳しかったと記憶しておりますが、この楽友会という場ではとてもソフトな感じでいらっしゃいました。


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(編注:NHK合唱コンクール優勝の記念写真。先生の右隣が筆者) ⇒ コンクール記事

しばらく前のことですが、倉敷の大原美術館の館長である大原謙一郎さんのお話を伺う機会がありました。ご存知のように当美術館は1930年に大原孫三郎氏によって設立され、私立の美術館の中ではモネの睡蓮、グレコの受胎告知など世界的なコレクションを持つことで有名であります。こちらでは、平日に地域の小学生に対し、課外教育の一環として無料開放しておられます。あるとき、一人の小学生の男子生徒がくだんのモネの睡蓮の絵をじっと見つめていましたが大きな声を張り上げて「あっ、あの蓮の葉の下から蛙が飛び出すよ」と叫んだそうです。

たまたま私は大学で心理学を学んだものですから、認知心理学でいうアフォーダンスといいますか、環境が呼びかけるという心理現象なのかと思いました。大人の我々ですと、水藻に映える睡蓮と美しい水の流れに感動するのでしょうが、子供の感性はモネの絵がかもし出すひとつの雰囲気から何かを引き出すという純粋なとらえ方をしているのでしょうか。つまり大人にはない感性を子供は持っているということになります。

この話を大原氏から伺ったときに、ふと高校時代に楽友会で岡田先生が我々(少なくとも私)に与えてくださったことと共通するといった印象が心に浮かびました。つまり、自分たちで何かを探し出す感性といいますか、そうした機会を与えてくださったのではないかと。

昔と少しも変わらない岡田先生のお姿に接することが出来、これからも我々をご指導賜りますことを祈念いたしております。(2013年5月26日)