Editor's note 2021/9

ブルームーンの偽定義が巷に氾濫

5年前の2016年6月の「編集ノート」にブルームーンのお話があります。かっぱのようなジャズ人間には、1934年の”Blue Moon”という歌があるので、とりわけ興味が尽きません。

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先月、8月22日は2年ぶりにブルームーンが見られました。我が家の東窓からの写真です。ブルームーンが南の空に昇るころには、雲が厚くなり月の光が見えなくなりました。 


2021年8月22日 ブルームーンの出

最近はSNS、Facebookに書き込みをする人が増えています。2020年の10月2日と31日は満月でした。

「同じ月に2回の満月があるとき、2回目の満月をブルームーンと呼ぶ」

という、ブルームーンの「間違い定義」を何処かで憶えた人が増えて来ました。それで、いろいろな人が「ブルームーンです」とFBに書き込んでいます。それを見て「初めてブルームーンの話を知りました」とコメントを書いて「いいね」を押してます。

1946年にアメリカの天文雑誌”Sky & Telescope”で、ブルームーンの話を誤解して、「同じ月の間に起こる2度目の満月を”Blue Moon”」と書いてしまいました。その後、「間違い記事」と訂正記事を掲載しましたが、既に、この記事が一人歩きして”Blue Moon”の別定義になってしまったのです。

本来のブルームーンは、1年は365日ですから13回の満月がある年が出てきます。それで、2分2至の4シーズンのどこかで4回の満月が現れます。19世紀の『メイン州農民年鑑』では、4回の満月の3回目の満月をブルームーンと呼んでいます。

しかし、天文学用語には「ブルームーンの定義」はありません。

2020年4月以降の日本での満月の日を調べました。

【春分〜夏至の満月】2020/4/8  5/7  6/6       (3回) 
【夏至〜秋分の満月】
7/5  8/4  9/2         (3回) 
【秋分〜冬至の満月】
10/2  10/31  11/30     (3回) 偽
【冬至〜春分の満月】
12/30  2021/1/29  2/27    (3回) 

【春分〜夏至の満月】3/29  4/27  5/26       (3回) 
【夏至〜秋分の満月】
6/25  7/24  8/22  9/21    (4回) 
【秋分〜冬至の満月】
10/20  11/19  12/19     (3回) 
【冬至〜春分の満月】2022
/1/18  2/16  3/18    (3回) 

【春分〜夏至の満月】4/16  5/16  6/14     (3回) 
【夏至〜秋分の満月】
7/14  8/12  9/10     (3回) 
【秋分〜冬至の満月】
10/10  11/8  12/8     (3回) 
【冬至〜春分の満月】2023
/1/7  2/6  3/7    (3回) 

【春分〜夏至の満月】4/6  5/6  6/4        (3回)
【夏至〜秋分の満月】
7/3  8/2  8/31       (3回) 
【秋分〜冬至の満月】
9/29  10/29  11/27     (3回) 
【冬至〜春分の満月】
12/27  2024/1/26  2/24   (3回)

【春分〜夏至の満月】3/25  4/24  5/23       (3回)
【夏至〜秋分の満月】
6/22  7/21  8/20  9/18   (4回) 
【秋分〜冬至の満月】
10/17  11/16  12/15     (3回)
【冬至〜春分の満月】2025
/1/14  2/12  3/14    (3回)

【春分〜夏至の満月】4/13  5/13  6/11     (3回) 
【夏至〜秋分の満月】
7/11  8/9  9/8      (3回) 
【秋分〜冬至の満月】
10/7  11/5  12/5     (3回) 
【冬至〜春分の満月】2026
/1/3  2/2  3/3    (3回) 

【春分〜夏至の満月】4/2  5/2 5/31       (3回)  
【夏至〜秋分の満月】
6/30  7/29  8/28      (3回) 
【秋分〜冬至の満月】
9/27  10/26  11/24     (3回) 
【冬至〜春分の満月】
12/24  2027/1/22  2/21   (3回) 

【春分〜夏至の満月】3/23  4/22  5/21  6/20    (4回) 
【夏至〜秋分の満月】
7/19  8/17  9/16       (3回)
【秋分〜冬至の満月】
10/15  11/13  12/13     (3回)
【冬至〜春分の満月】2028
/1/12  2/10  3/11    (3回)

2021年8月22日、2024年8月20日、2027年5月21日が真のブルームーンの日です。

「巷では、月に2回のブルームーン話が浸透している」のだから、「それでいいじゃないか」と言われました。そういう問題じゃないでしょ・・・。

確かに、アメリカも同じですが、日本でも「間違った定義」が大衆に受け入れられてしまいました。あー・・・


編集後記: ”Blue Moon”という歌は、作曲:Richard Rodgers(1902-1979)、作詞:Lorenz Hart(1894-1943)による1934年の作です。


Rodgers & Hart

リチャード・ロジャースは1919年、コロンビア大学に入学したとき、すでに彼の相棒、 ローレンツ・ハートとブロードウェイ・ミュージカルを書き上げていたといいます。そんな学生はコロンビアが始まって以来のことだったのです。しかし、彼は2年後にはInstitute of Musical Art(後のジュリアード音楽院)に移り音楽の勉強をするのです。

この名コンビは"Rodgers & Hart"と呼ばれ、ハートが49歳で亡くなるすこし前まで続き、30年代から40年代のはじめまで、数々のスタンダードとなった名曲を世に送り出しました。

(2021/9/7・編集部かっぱ)


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