楽友三田会

70周年記念演奏会までの軌跡


楽友三田会会長・70周年記念演奏会実行委員長 遠藤 敦(29期)


<検討開始>
70周年記念演奏会の検討を始めたのは、2018年8月、今から約7年前のことでした。私自身は50周年記念演奏会に参加できなかったこともあり、事前の知識と経験がほとんどないまま検討委員会を立ち上げたことを覚えています。当初の検討委員会は、4期から現役3年生までオブザーバを含めて21名でのスタートでした。

検討委員会にはベテランの先輩方に何人も参加していただきましたので、丁寧なご指導を受けながら意見を交わし、現役や若手のメンバーからも熱意ある発言を聞くことができました。70歳も離れたほぼ初対面のメンバーが集まって、真剣に議論する―――私にとってとても新鮮な経験で、ただただ驚くばかりでした。

今回の記念演奏会は、前回の50周年とはまた違う特徴を持たせたいと思っていましたので、「多様性と一貫性」というフレーズをコンセプトにすることを提案しました。それは次のような意味ですが、楽友三田会の活動と演奏会の検討を進めるにつれて、このコンセプトにして良かったと思うようになりました。

●楽友会と楽友三田会は70期に迫る世代を抱える厚い組織となりましたが、それ故、それら世代間で、生活環境、組織に対する価値観、音楽の嗜好などの違いが浮き彫りになっていることも事実と思います。
●一方、楽友会は、少しずつ姿・形を変えつつも途切れることなく継続し、その同じ団体に会員全員が属していることは事実であり、音楽そして合唱を愛好する心は、発足当初から少しも変わっていないと確信できます。
●また、楽友会と楽友三田会は、連続的かつ一体的であることを志向します。
●70周年記念演奏会は、そういった多様性と一貫性・連続性を合わせ持つこの組織の特徴を反映したものとし、全世代の会員が主体的に活動できる場にすることを目指します。

その後、2か月に1回のペースで検討委員会を開き、日程、場所、曲目、指揮者・オケ・ソリスト等の出演者、予算、スケジュールなどの企画案を固めていきました。メイン曲はいくつか候補が挙がりましたが、全世代共通の伝統曲といえる50周年と同じ《モーツァルト・レクイエム》に決まりました。三田会曲は、世代が異なる3名の会員に指揮をお願いし、3つの合唱団に分かれて計9曲を歌う形態としました。時期は2022年2月とし、メイン曲の指揮者、オケ、ソリストは、検討委員の先輩方のご尽力により徐々に決まっていきましたが、最後まで苦労したのは本番会場でした。この年に完成した日吉の新記念館や公共のホールも候補になりましたが、使用目的と合わず、また出演者の方々と早期に日程調整する必要があるため断念。多方面に人脈をお持ちの先輩方に依頼して本番会場選定プロジェクトを作り、いくつものホールを訪問し、ようやく2020年1月の総会の直前にオーチャードホールを使用できる見通しが立ちました。

これから実行委員会を立ち上げて、いよいよ本格準備をスタートさせよう−−このときの総会はそのような雰囲気で満ち満ちていました。

<計画延期>
しかし、計画の承認をいただいたこの月は、新型コロナ初の国内感染者が確認されたときでもありました。

その後政府から緊急事態宣言が発出されましたが、長くても1年以内に収まって2年後の演奏会には影響ないだろうと考えていたのは事実です。実行委員会はオンライン開催となり、6月から出演者の募集を始めて160名の応募をいただき、練習会場の予約活動も行いました。

ところが、その後も感染拡大が続き、緊急事態の期間も長期化していきました。年が明けた2021年1月、もし利用日の1年前を過ぎて本番会場をキャンセルすると、不可抗力な理由であっても支払った前払い金が返金されないことが分かり、本番時期の延期と本番会場のキャンセルを急遽決断するに至りました。つまり、それまで練ってきた企画と行った準備の多くが振り出しに戻ったわけです。振り出しに戻ったことは残念でしたが、実行委員と代表幹事のご理解によってスピーディに延期を決定でき、全額返金が叶いました。また、この年はデルタ株の蔓延によってコロナ禍が世界中でより深刻化しましたので、もし延期しなかった場合、練習を開始することができず立ち往生してしまったことでしょう。

その後、オーチャードホールの休館が発表され、本番会場も再選定することになりました。しかし、実行委員会はそこで歩を止めることはありませんでした。技術委員会は練習計画を煮詰め、新たに情報共有ホームページのチームを作って検討を始め、プログラムチームは「楽友会のあゆみ」の原稿執筆と添削を進め、楽譜チームは著作権等の調査を進めました。これらの積極的な活動が、再計画のときに見事に実を結ぶことになります。

そして、2022年初頭から、実行委員長・副委員長をはじめとする新たな実行委員体制がスタートしました。計4つの委員会を設けて実行委員を大幅に拡充し、最終的には計78名にもおよぶ委員でそれぞれの役割を担っていただく体制となりました。コロナ禍を契機として「Zoom」を使ったオンライン会合が一般化し、いつでもどこからでも会合を行うことができるようになったことも幸いしました。平日の夜や土日の早朝など、仕事や家事の空き時間を使った打ち合わせが可能になり、各チームの人数が多くなっても、随時話し合って方針や役割分担を決めることができるようになったわけです。

4つの委員会の委員長で毎月ミーティングをもって基礎論議や情報共有を行うこととし、まず練習事務局が練習会場の調査と検討を始めました。200人前後で合唱の練習ができて、楽友三田会員に抽選参加をお願いできそうな施設を探したところ、いくつかの地域の公共ホールと日吉の藤原洋記念ホールが候補となりました。

<再計画始動>
年が明けて2023年1月、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の分類を5月から5類へ変更することを決定しました。

これを厳しい規制が不要になることの社会的なコンセンサスと捉え、実行委員会では2025年2〜3月の開催を前提に再計画することを決め、予算を再作成して練習会場と本番会場の予約活動を本格的に始めることにしました。練習会場は、練習事務局の毎月の作戦が功を奏し、多くの方々の協力を得て、主に品川区のホールと日吉の藤原洋記念ホールを予約できました。現役との合同練習で利用する藤原ホールの予約については、現役の皆さんに協力をお願いしました。

しかし、本番会場とゲネプロ会場はやはり決まるまでに時間を要しました。本番会場は先輩委員にお願いした特別な調整が実って、2月24日(月・休)にサントリーホールを利用できることになり、続いて、その2日前にゲネプロ会場として浜離宮朝日ホールを予約することができました。この日程を前提にメイン曲の指揮者、オケ、ソリストと再調整し、一部交代はありましたが無事出演を依頼することができました。三田会曲についても、一部指揮者の交代がありましたが、合唱団を分けずに3名の指揮者に1曲ずつ振っていただくこととし、12月から三田会参加者の再募集を開始しました。このときの募集チームの活躍は見事なもので、1月に入ると4年ぶりに対面開催した新年会での大キャンペーンを挟んで応募がぐんぐん伸び、目標180名のところ何と210名を超える応募をいただくことができました。

4月から始まる練習は、ゲネプロを除いて計12回(現役のみの練習を除く)となりましたが、この限られた日数で満足できる演奏を行うためには相当綿密かつ効果的な練習計画が必要になります。技術委員会では、何度も調整を重ねて時間配分やピアニストおよびヴォイストレーナーへの依頼を含めた練習計画を固めていきました。中でも三田会曲は、指揮者が3名いますので、まとめ役をお願いした委員に調整していただきました。また並行して、全曲・全パートにわたる音取り音源も用意してホームページに掲載し、練習前の自主練習を参加者へ呼びかけました。一方、楽譜チームは、著作権に留意しながら各自での楽譜購入と一部の曲はホームページからのダウンロードを促し、練習事務局は、会場の手配に続き、参加者への着席案内をはじめ事前準備と当日の進行等を担うことになりました。

<練習開始>
こうして、多くの方々の努力によって、2024年4月20日(土)、品川区の荏原文化センターで最初の練習が始まりました。この日は、午前の三田会曲、午後のメイン曲ともに60期代の若手指揮者の練習から始まり、全世代主導という今回のコンセプトを象徴するような練習となりました。また、この日は練習後に同センター内で懇親会を行い、練習のスタートと初対面または再会を喜ぶ場となりました。

この後も月1回の練習に向けて各委員で準備が進められましたが、ホームページを使った情報共有が効果を発揮し、中でも特筆すべきは練習動画の公開でした。練習の状況を収録して分かりやすいコメントを付けて編集しホームページで公開。練習を欠席した方、復習をしたい方に大いに役だったことは間違いありません。指揮者やヴォイトレの指示も画面に表示され、効果的な練習の助けになりました。

練習開始の前後の時期には、チケット販売チーム、プログラムチーム、祝賀会(兼新年会)幹事も本格的に動き出しました。続いて、寄付金の募集も計画しました。チケット販売については、全席をオンラインサイト「Teket」で販売することとし、オンライン操作が困難な方への購入支援を計画。プログラムチームはチラシの作成を始め、その後プログラムのページ構成を決めて原稿依頼へと進みました。

祝賀会については、X9期が主幹事でしたが、X5期の協力を得て会場選定を行いました。サントリーホールから近いこと、もし300人を超えても収容できること、参加費が高額になり過ぎないことを条件に候補を探し、サントリーホール内のブルーローズを申込み、6月の代表幹事会以降本格的に準備が始まりました。

練習は8月から「質を高める練習」と位置づけ、11月の初回マエストロ練習に向けて加速させていきました。一方、現役は定演曲であるフォーレ・レクイエムと並行してモツレクの練習もスタートし、10月からの現役・三田会合同練習に間に合わせることができました。2つの大曲を同時並行で練習するのは前代未聞の難事業ですが、メイン曲担当の若手指揮者が熱心に現役を指導した成果といえるでしょう。

11月から場所を藤原洋記念ホールへ移し、いよいよ初回のマエストロ練習が行われました。マエストロのタクトは、誰もが想像を超えるものと感じたはずで、我々の意欲を存分に引き出す練習となりました。

<本番へ向けて>
チケットについては、10月から合唱団員向けの販売とチラシの配布を開始し、続いて11月から一般向けの販売を開始。購入支援チームによる購入代行、そして広報チーム・募集チームと連携した販売促進が効果を挙げて、直前1か月を切ると加速度的に販売が伸び、S席とA席は完売、B席も残り少ないほどになりました。並行して募集した寄付についても多くの方にご協力いただきました。

ノルマを設けずに果たしてチケットが売れるのか当初から心配されていましたし、更に寄付も集まらなかったら赤字になるところでしたが、このような結果を出せたのは、楽友会・楽友三田会全員による成果であり、我々の結束力も捨てたものではないと実感した瞬間でもありました。

年が明けて1月、実は最後の難題がまだ残っていました。本番当日に演奏中を含めて事務方として手伝っていただくスタッフがまだ十分に集まっていなかったのです。外部からお招きしたフロアマネージャから人数不足を指摘され、急遽追加募集を行ったところ幸いにも数名を超える応募をいただき、1月末に「本番事務局」を立ち上げました。しかし、もう本番まで1か月もありません。メンバーをステージ係と会場係に分けて、打ち合わせを繰り返し、ゲネプロ会場と本番会場の現地下見も行いながら、猛スピードで準備を進めました。この慌ただしさは、実に本番が終了するまで続きました。

並行して、プログラムチームは年末年始の休みを返上してプログラムの校正作業と印刷の手配を行い、録画録音係は録画・録音・写真の手配を、対外折衝係は出演者の先生方と契約手続きを進めました。

一方、2月に入ると、パートリーダーが中心となって本番ステージの並びを決め、それに準じた席で歌う練習が始まりました。楽譜チームからは楽譜の綴じ方・持ち方も打ち出されましたので、合唱団員が本番を強く意識し身の引き締まる思いだったに違いありません。

このような準備を経て、無事にゲネプロそして本番を迎えることができました。本番の演奏会とその後の祝賀会が盛会となったことは言うまでもありません。

検討開始から約7年にわたる長い道のりでしたが、ご指導・ご出演いただいた先生方、度々ご助言とご支援をいただいた顧問の方々、会計係・書記係を含む検討委員・実行委員の皆様、そして楽友会・楽友三田会の会員および関係者・協力者など全ての皆様のご努力に敬意を表し、御礼に代えさせていただきます。

検討委員会  ※敬称略、2018年8月当初
 
検討委員長
29期
遠藤 敦  
 
検討委員
4期
筑紫 秀子
 
10期
小林 章
 
23期
谷口 明彦
 
26期
廣瀬 泰文
 
31期
細川 裕介
 
35期
望月 次郎
 
41期
水野 宏美
 
52期
椿 さくら
 
59期
阿久津 遼太
 
65期
須藤 雅大
現役3年
 
65期
釜井 美奈江
現役3年
 
オブザーバー
20期
市田 正英
 
24期
山本 一吉
 
25期
杉山 良子
 
26期
藤田 克己
楽友三田会会長
 
29期
山本 高司
 
29期
井谷 由紀
 
29期
渡部 美代子
 
34期
海野 英俊
 
38期
小嶋 華津子
楽友会会長

実行委員会  ※敬称略、非会員を除く
 
実行委員長 楽友三田会会長
29期
遠藤 敦  
 
顧問・楽友会会長
38期
小嶋 華津子
 
顧問
12期
清水 康昭
 
20期
市田 正英
 
24期
山本 一吉
 
26期
藤田 克己
 
書記
35期
杉山 良子
<総務委員会>
 
実行副委員長/総務委員長
29期
山本 高司
 
会計
36期
小原 朋子
 
20期
市田 正英
 
寄付募集
25期
杉山 良子
 
65期
田中 綾莉
 
プログラム・印刷物
29期
渡部 美代子
 
24期
山本 一吉
 
29期
井谷 由紀
 
29期
杉浦 純子
 
30期
二階堂 映子
 
31期
長部 典子
 
31期
三浦 香
 
32期
島本 美樹
 
38期
小嶋 華津子
 
情報共有HP
65期
藤 雅大  
   
41期
水野 宏美  
   
67期
天野 颯太  
 
楽譜・著作権
31期
越澤 美栄子  
   
31期
柏木 由美子  
 
録画録音
29期
山本 高司  
<技術委員会>
 
実行副委員長/技術委員長
23期
谷口 明彦  
 
合同曲 合唱指揮
23期
谷口 明彦  
   
35期
望月 次郎  
   
67期
天野 颯太  
   
66期
伊藤 心  
 
合同曲 対外折衝
65期
須藤 雅大  
 
三田会曲 ステージ指揮者
26期
廣瀬 泰文  
   
31期
細川 裕介  
   
66期
伊藤 心  
 
三田会曲 ステージ指揮者補佐
27期
中 達哉  
 
41期
水野 宏美
 
 
65期
柳生 頼人
 
 
三田会パートリーダー   ソプラノ
31期
柏木 由美子
 
 
アルト
66期
伊藤 心
 
 
テナー
35期
望月 次郎
 
 
ベース
26期
藤田 克己
 
 
現役曲 学生指揮者
70期
白井 波音
 
 
現役パートリーダー  ソプラノ
70期
白井 波音
 
 
アルト
70期
白田 真弓
 
 
テナー
70期
浜田 渉
 
 
ベース
70期
秋田 涼介
 
<募集販売委員会>
 
実行副委員長/募集販売委員長
34期
海野 英俊  
 
人員募集管理
27期
宇都宮 日美  
   
52期
椿 さくら  
   
26期
奥井 久美子
 
   
26期
清野 美由紀
 
   
26期
徳田 智子
 
   
26期
成瀬 安希子
 
   
26期
山根 弓子
 
   
40期
平岡 志磨子
 
   
64期
橋本 裕平
 
 
チケット販売
30期
天ケ瀬 圭三  
   
31期
岡崎 真理  
   
31期
長部 典子  
<練習本番委員会>
 
実行副委員長/練習本番委員長
30期
渋谷 勝久  
 
練習事務局
30期
渋谷 勝久
 
   
30期
清水 常生
 
   
30期
三浦 尚美
 
   
30期
山崎 裕子
 
   
32期
小西 みはる
 
   
33期
山岐 真作  
 
本番事務局
31期
川野 隆清  
   
44期
吉田 知生  
   
24期
深井 剛良  
   
27期
中村 美緒  
   
30期
酒寄 由子
 
   
30期
二階堂 映子
 
   
31期
長部 典子
 
   
31期
香川 匡人
 
   
33期
今岡 裕子
 
   
33期
徳永 恵美子
 
   
34期
近藤 大介
 
   
36期
上野 麻子
 
   
36期
堀 徹也
 
   
37期
長田 陽子
 
   
37期
村上 恭子
 
   
39期
相原 正孝
 
   
39期
井上 明子
 
   
64期
橋本 裕平
 
   
70期
深作 愛実  
         
 
本番会場選定
26期
藤田 克己
 
 
26期
廣瀬 泰文  
         
 
楽友三田会合唱団代表
16期
佐良土 雅文  
         
 
現役代表
70期
鈴木 公太郎
 
 
70期
板倉 未沙
 
 
70期
白井 波音
 
 
70期
堤 陽菜
 
 
71期
堀江 陽菜
 
 
71期
臼井 玄
 
 
71期
尾島 瑠璃子
 
   
71期
白上 夏歩  
         
 
広報オブザーバー
27期
加藤 惠子
 
   
29期
今川 敬秀
 
   
29期
渡部 美代子
 
   
30期
酒寄 由子
 
   
30期
二階堂 映子
 
   
32期
島本 美樹  

祝賀会幹事    ※敬称略
 
幹事
9期
粟根 潤子
 
   
9期
市村 正明
   
19期
毛利 庸子
 
19期
石川 幹雄
 
29期
井谷 由紀
 
29期
山本 高司
 
29期
遠藤 敦
   
39期
井上 明子
   
39期
相原 正孝
   
49期
土屋 まどか
   
49期
坂井 ゆり子
   
49期
坂井 洋介
   
59期
阿久津 遼太
 
69期
飯野 広太郎
 
オブザーバー
34期
海野 英俊
 
36期
小原 朋子

 

楽友三田会会長・70周年記念演奏会実行委員長 遠藤  敦

(2025/4/24)