その他の趣味・同好会



フォトアルバム

思い出のニュー・ヨーク  
その1− リンカーン・センター


田中 博(20期)


September 11 から20年、そして、今、よく耳に入ってくる街の名前ニュー・ヨークを旅行の際に撮影していた写真を、いくつかのテーマに分けて紹介させていただきます。

ロックフェラー・センター屋上のTop of the Rock® からマンハッタンの南方向を望む。左にはMetLifeビル(旧パンナム)、その後ろにクライスラービルが少し見える。右側はエンパイア・ステート・ビル。

ニュー・ヨークが題名に付いている身近な音楽といえば、フランク・シナトラの歌唱で知られる”Theme from New York New York"の歌詞は、アメリカ版立身出世を目指す景気の良い”旅立ちの歌”となっています。

.(歌詞部分引用)
Start spreadin’ the news, I’m leavin’ today、I want to be a part of it、・・・・I’ll make a brand new start of it, In old New York. If I can make it there, I’ll make it anywhere. I want to wake up in a city that never sleeps. And find I’m A number one, top of the list. King of the hill, A number one. ・・・・ I’m gonna make it anywhere. It’s up to you, New Yorkと、NYへ旅立ち、NYで幸せな新しい生活を実現するのだ! というアメリカ人好みズバリの歌詞です。

 

https://youtu.be/HkIuechokQI

第一回目の被写体は、日本で最近よく名前を聞いた大学のすぐそばにある、リンカーン・センターです。

リンカーン・センターは専制君主や封建時代の王などの支配下にある領土は個人資産とみなさないとしての個人資産を評価した場合、人類史上ナンバーワンの富豪だったといわれるジョン・ロックフェラー(シニア)の孫であるロックフェラーV世のリーダーシップとロックフェラー財団ほかの資金によりセントラル・パークの南側の西の外側から少し入った場所につくられた芸術のためのコンプレックスです。日本の音楽ファンにとっては、リンカーン・センターと言えば=メトロポリタン歌劇場(略称メト)、そしてニューヨーク・フィルの本拠なのですが、バレーやジャズ関連の施設やジュリアードなど、音楽から演劇まで幅広い芸術関係団体が活動している施設の集合体です。

Top of the Rock® からセントラル・パークとハドソン川との間にある富裕層が住むと言われるアッパー・ウエスト・サイドをみる。画像の下側、ほぼ中央の少しだけ左側、木の緑と接して写っているのが、ヨーコ・オノとジョン・レノンが住んでいたダコタ・ハウス。リンカーン・センターおよびF大学は画面左下黒く写っているビルの裏側あたりにあります。


メトロポリタン歌劇場(Metropolitan Opera House、略称MET)

うろ覚えで恐縮なのですが、昔NHKが放映するクラシック音楽番組の、最初の導入部分にはメトロポリタン歌劇場の前の庭の噴水越しに歌劇場の姿の映像が使われていたことがありました。

フランスのエコール・デ・ボ・ザールに学んだWallace Harrison氏(Harrison & Abramovitz事務所)の設計によるメトロポリタン歌劇場は新興国アメリカが西洋の歴史をもとに、シンプルな新しい建築美を作り上げた作品とも言えましょう。

ホールロビーの吹き抜け天井の2階の左右には、旧ロシア(現ベラルーシ)出身のユダヤ人でフランスに渡った画家マルク・シャガール Marc Chagall 作の壁画が左右に飾られています。


   Marc Chagall作 “The Triumph of Music


Marc Chagall作 “The Sources of Music

実はシャガールのもう一つの作品がMETにあったそうです。1966年のシーズンに上演される際のモーツアルトの「魔笛」にあわせて作成された緞帳(資料ではどちらかというとステージ・カーテン地に絵を描いたように見える)で赤色をベースにした絵でした。このステージ・カーテン、過去にオークションで販売されたことがあったそうですが2020年11月にオークションハウス、ボナム Bonhams でオークションが開催されるという報道がありました。なにしろ大きな舞台の幕ですから個人の豪邸や普通のビルでも、吊るしてシャガールを楽しむのは難しい大きさです。2020年のオークションの結果がどうなったのかの続報は流れておりません。

場内、天井、壁面は渋い黄金色とバーガンディー色を基調としたシンプルかつ絢爛豪華なものになっています。 シャンデリアが目を引きます。

 

最近でこそ日本の音楽会では幕間には軽食や軽い飲み物がとれるようになってきましたし、新しく作られた劇場にはレストランが併設されることも普通になってきました。英米ではミュージカルを聞きに行くときもそうですが、早めの軽いディナーや終了後の食事に対応してくれるレストランもあり、充実した社交的なひと時を過ごすことができます。

METでもちゃんとしたテーブルがあるレストラン”The Grand Tier Restaurant”があります。開演の二時間前から、そして幕の合間にデザートをとることもできますが要予約、席にも限りがありますので大半の観客は“ORCHESTRA BAR”という名の飲料販売コーナーで喉を潤すことになります。執筆時点での飲料の価格はスパークリングワインでは、バイ・ザ・グラスでスペインのCavaが14ドル、イタリアのProseccoが15ドル、シャンパンの有名な銘柄であるLouis Roedererで20ドルでした。日本のちょっとしたレストランでの価格と大差ありません。


シャンパンLouis Roedererのボトル


2009年5月8日  IL Trovatore


2012年12月 クリスマスシーズンの飾り付け
セヴィリアの理髪師の半透明の幕が飾られている

メトロポリタン歌劇場に向かって右側の直線美を生かした建物はディヴィッド・ゲフィン・ホールDavid Geffen Hallでニューヨーク・フィルハーモニックが本拠としています。昔、NHKで放映されたCBSのレナード・バーンスタインによる「ヤング・ピープルズ コンサート」などで憧れたホールですが、残念なことにこのホールに入ってのニューヨーク・フィルのコンサートの経験はまだありません。


David Geffen Hall


David Geffen Hall

METに向かって左側にある建物は旧名称ニューヨーク州立劇場New York State Theater、現デイヴィッド・H・コーク劇場David H. Koch Theaterで、ニューヨークのバレー公演の会場として知られています。設計はビル550 Madison Avenue で知られるフィリップ・ジョンソンPhilip Johnsonです。


David H. Koch Theater

日本の建築・設計関連の学校や業界では照明が建築の重要なファクターであることをもっと認識してもらいたいものである。文字“NEW YORK CITY BALLET”の文字色に変化をもたせるだけで全体でも一つの装飾作品となっている。アニメ文化の日本では望めない世界かもしれない。


PATRONS OF LINCOLN CENTER

THE ROCKEFELLER FOUNDATION, THE FORD FOUNDATION, STANDARD OIL COMPANY (NEW JERSEY)・・・・・・・リンカーン・センター設立に協力した合州国(United States)の名だたる企業、企業が出資した慈善団体の名前が列挙されています。努力し成功し巨万の富を得ること、そしてその富を社会還元するという、独禁法が厳しい、建前は信教の自由であっても大統領が宣誓式で聖書に手を当てる国です。

(2021年10月18日)


編集部付記: 田中 博君がニューヨークのリンカーンセンターの写真集を書いて送ってきました。1週間ぶりの投稿です。

編集部の2人が、読者に誤解されないように読みやすく校正作業をしていますが、彼の話は奥が深くとても簡単には行きません。何度も同じ個所を書き直して此処までになりました。皆さんには見えないところで、博君とのやり取りが何度もあってこのフォトアルバム1編が出来上がったのです。面白かったです。

世界中の街々を歩き、写真をしっかり撮ってくるというのは大変なことです。かっぱも地球の裏側まで歩き回っていましたが、肝心なところの写真が撮ってなかったり、何処にしまったか分からなくなったり、マンション建て替えで預けてあった荷物(家財道具からアルバムまで)が盗られたりしました。

博君が羨ましいです。その上、美味しい食事や高級なワインなどをたらふく。凄いのです。

また、何かを整理したら原稿にして送ってくれると言っています。いい後輩に恵まれました。おまけにジャスにも造詣が深いのですよ。ジャズ爺さんは嬉しくなります。

(2021/10/18・かっぱ)