
混声合唱に想う
重本アキ子
原稿を書くように、と頼まれてから約1週間ものお休みがあったのに、その間何をしていたのか知らない間に日がたってしまい、何か書かなくてはと気ばかりいらいらしてとうとう今日になってしまった。原稿を書くなんて大嫌いなので、人にばかり頼んでいたのだが「アコ、自分は一つも書かないなんてずるいわょ」ってお友達から叱られて、仕方なくペンをとったが・・・・・
さて何を書こうかと一生懸命頭をひねり、どうせ書くのなら少しは立派なのを書きたいなぁーと、前の「楽友」等を引っ張り出して読んだりしたけど、やっぱり何を書いてよいのかわからない。書きたいことがあるようで、ないようで、仕方がないから心に浮かんだ事を皆書くことにします。
私は音楽は何々だから何々であるなんていったようなむずかしい言葉を並べることは出来ないが、唯、音楽が大好きだということだけはハッキリ言える(下手の横好き?ですけど)。私にとっては、合唱をやっている時が一番楽しい時で、むずかしいところがやっと歌えるようになった時の嬉しい気持ち!!一番初めの「グローリア」から今日まで、ドラ声はりあげてアルトで頑張ってきました。正直なところ、いつもアルトで変な声を出して時々大きな声で間違うのは私なんです。
私としては、なるべく早く曲を覚えて、岡田先生の指揮をよく見て歌っているつもりなのですけれど、チョット下を向いたりした時運悪く一人で大声をはりあげてしまったりして、真っ赤になって顔から火が出そうになったことなど度々で数えきれない位。でも自分では「練習中は大きな声で間違っても、本当の時にしっかりすればいいんでしょ」って思っているので、この頃はもう平気になりました。
私の声がこんなに大きくなったのも、混声をやるようになってからなんです。あんまり男の人の声が大きいもので、女性の声が消されてしまい、いつも先生から、女声は声が小さい小さいってご注意を受けるので、自然負けまい?と思ってつい・・・・・
時には短時間の休憩の時、お友達と買ったキャラメルをこっそり二つ三つ口に頬ばって「いざ練習始まり」となると何だか喉がベトベトして声が出なかったり…随分お行儀が悪い生徒です。まさかこのような事のためではないでしょうが、何ですか、男の方の中では女子校のことを良く思っていらっしゃらない方が多いようですが、女子高からみた男の方についてちょっと、女子が悪く見られているのにくやしいですが、私達は一緒に合唱をやっている皆さん達を皆本当に良い方達ばかりだと思っています。そしていつも女性が練習不足で、せっかく1週に1度合わせる時でも貴重な時間を潰して女子だけのパート練習をしたりして、本当に申しわけないと思っております。
せっかくこんなに済まないと思っているんですのに「何だい、つまんないじゃないか、女子なんて下手だなー、これなら男声コーラスをした方がどれだけいいか」なんておっしゃる声を時々聞きますと、熱心にコーラスをやっていらっしゃる方など断然憤慨して「あの人こんな事言ってたわよ、しゃくね」なんてプリプリです。
考えてみますと、日吉の方では何千人もの中から本当に音楽の好きな人ばかり集まってやっていらっしゃるのですから、何ごともきちんきちんといくのでしょうが、何しろ女子校は出来たばかりで人数も少ないですし、中には、初め中途半端な気持ちでコーラスを始めた方もあったようでした。練習も十分ではありませんし、もうこれでは混声合唱などできないと思ったことも何度かございましたが、今では殆どメンバーも決まり、練習にいらっしゃる方はきちんと出て来て下さいますし、これで又1年生の方達が入っていらしたら大分落ち着くと思います。種々の点で不充分な事ばかりですが、どうぞお怒りにならず(今まで女子に対して不愉快な感じをいだいていらした方は)今後ともわからないところや、変なところがございましたらどんどん教えていただきたいと思います。
月日のたつのは早いもので、私達がコーラスを始めてからもう2年たち、後1年で高校生活も終わり、さらに大学へ進学なさる方、又家で色々なお稽古や何かなさる方とに分かれますが、私達は高等学校を卒業しても、もし続けていけるものなら、音楽愛好会に残り皆さんと楽しく合唱をやっていきたいと思っております。
最後に一つチョット面白い事を。
私達、今までにマスクは何のためにするものなのかなんて皆で話し合ったことがございます。これは当たり前の事なのですが、冬皆が風邪をひいて鼻をグズグズいわせたり、咳をしたりしている頃、練習に出ていらした方はご存知だと思うのですが、岡田先生のマスクが鼻の上の方に上がっちゃってマスクの役をしていず、しかもそれで(マスクのハズレタ口で)タバコをスパスパ・・・・・。又時にはアゴの下にマスクが下がっちゃって・・・・・。私達おかしくておかしくて笑いが止まらないことがございました。一体マスクは何のためにするのでしょう?岡田先生のあの笑い方などと共に、私達が卒業したのち、音楽愛好会の事を考えるたびに思い出す、一つの面白い想い出となることでしょう。
編者注: 注記と云うより、蛇足のようなもので・・・。
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