
歴代幹事長語録
巻 頭 言
伴 有雄(1期・初代)
初めての女子をまじえた今夏の合宿も、何ら事なく終わったことは私たち楽友会が新たに得た大きな収穫でした。このようにして誕生以来、日も浅い楽友会も着々と伝統を築きあげていっております。
伝統というものは、善悪にかかわらず、決して意識的に形成されるものではなく、気づかないうちに築かれていきます。従って、創立期にある私たちの責任は重大なものがあります。私たちが無意識に残した悪習があるとすれば、それは後輩の時代にも反映し、ますます大きなものとして浮かびあがってきます。私たちは各自の自覚と努力とによって、輝かしい伝統を築きあげるようにせねばなりません。
その自覚とは、一個の人間としての自覚と楽友会員としての自覚なのです。換言すれば、一方において確固たる自我を養成すると共に、他方、会のために自我を捨て去った犠牲的精神を涵養することが必要なのです。
ささいな感情による会員同志のいがみ合いは、お互いの寛容と忍耐とによって克服せねばなりません。そして楽友会員としての希望と誇りとをもって、一歩一歩向上の途をたどりたいものです。
さて、厳しかった夏も過ぎ灯火親しむの候となりました。各自勉学に、文化活動に専心されていることと思います。私たち11月の発表会も間近に迫りました。お互いに一層の努力を払い、あらゆる意味において最善の成果を収めるように致しましょう。
「楽友」新・第3号(53年11月)
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