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歴代幹事長語録

巻頭の言葉

小林 利雄(4期・第4代)
昨年新入会員としてこの会に入ってこられた方にとっては、早1年の月日がたちました。大部分の会員諸君は、それぞれこの何倍かの年月を過ごされたわけですし、僕自身としては5年間の生活をこの会で君達と共にしてきたことになります。

その間、楽友会は年ごとに着実な発展を遂げてきました。しかし、その発展の陰に、発足当時の楽友会に満ちていた何ものかが失われてしまったことは否めません。

発足したばかりの楽友会、希望と期待に満ちた会でした。この活気に満ちた雰囲気は、大学生会員と高校生会員という、現在多少とも性格を異にする二つのグループが併存することから生じる矛盾や、現実における会の運営上の困難を、会員が切実に認識していなかったことにも起因しませう。

しかし当時としては、新しく誕生した楽友会の運営に際して生ずると考えられる、漠然とした困難になど気を配ることができぬほど、会員の会に対する希望と期待は大きかったのです。

こうして生まれた楽友会であるのに、その運営は事実上大学生会員を中心とする傾向が強まり、会員の大多数を占める高校生会員との遊離、さらには会員の会に対する熱意の薄弱さがみられるのが昨今の状態です。

もちろんこれは運営面の実際の担当者の責任でもありませう。しかし運営担当者は会員諸君の代表者であり、君達の意思の代表者である以上、会員全体の責任でもあるわけです。もし君達が直接運営に携わる者に何ら意思表示することもなく、目的もなく集まっているだけなら、僕たちは君達の代表者ではなく、諸君も烏合の衆と化すのです。

僕たちは大学生と高校生とか、運営担当者と一般会員とかいった対比関係におかれるものではなく、楽友会という音楽活動をする学生団体として、社会と楽友会という対比関係における楽友会の代表者なのです。しかも大部分の会員は、それぞれに会に対する意見をもっているのですから、ぜひ、それを僕達に聞かせて頂きたいし、また、会員全体の場において公にして頂きたいのです。

こうした会員全体の熱意と努力を通じて、楽友会をよい意味での理屈っぽさと、時には底抜けの愉快さとを兼ね備えたクラブにしたいものです。

「楽友」第10号(57年5月)


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