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函館の夜

 

筑紫 武晴(1期


慶應義塾高等学校音楽愛好会混声合唱団の東北地方演奏旅行は1951年の夏休みに行われました。

音楽愛好会は1948年慶應高校の音楽教諭であった岡田忠彦先生によって創立され、1950年からは男子高校および女子高校のメンバーによる音楽愛好会混声合唱団として活動を始めました。

その演奏旅行の後、私は同級生の伴有雄君と北海道を旅行しました。その時、私たちは高校3年生でしたが、函館の山に登り夜景を眺めながら「大学生になったらどういう音楽活動をしてゆこうか」、と夢を語りあいました。

当時、伴君はワグネルのオーケストラに参加し、私もワグネルの男声合唱団に顔を出していたのですが、やはり音楽は混声合唱でこそ深みがあり、大学にいってもこのまま音楽愛好会で活動を続けていこう、ということで二人の意見が一致しました。

1952年、私たちが大学1年の時、音楽愛好会出身の大学生と高校現役会員を母体に、岡田先生のご命名によって「慶應義塾楽友会」が設立されました。

私が大学1年から4年までの4年間(1952〜55)、混声合唱は岡田先生に指揮をして頂き、男声合唱は伴君、女声合唱は私が指揮して、56年に楽友会の第1期生として卒業しました。その後、後輩の皆さんのご努力によって、61年に楽友会は慶應義塾大学の文化団体連盟に加盟。混声合唱団は楽友会、男声、女声はそれぞれワグネル男声合唱団、ワグネル女声合唱団がその公認団体となりました。

1965年、大学と高校の学事日程に相違があることから、それぞれの「楽友会」活動は分離することになりました。大学楽友会はこの年から慶應義塾大学混声合唱団楽友会と称するようになり、今日に至っています。

伴有雄君は大学卒業後、指揮者としてウィーンから鮮烈なデビューを果たし、炎のような音楽を演奏しながら85年に早世されました。

今、楽友会の現役は57期生までの会員を擁し、楽友三田会員は千人を大きく超えるようになりました。

慶應義塾150年記念を迎え、「楽友会」という名前が慶應にあることを誇らかに伴有雄君に報告したいと思います。(08年7月24日)


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