記念資料集有馬語録)

新時代の学生に

有馬 大五郎(楽友会顧問)


私が頼めば耳を傾けてくれると思うので申しあげますが、学生音楽で最古の伝統をもつKE10の学生さん達は、新時代の人として少し気の効いたことをやってほしい。

吾々先輩のやったことを再検して、ヒネクッたもの、こしらえもの、つくりもの、芸術良心などという錦の御旗の行方、などなど袋小路に入ってアマルガム化したものを洗い流して、サッパリと新しい日本の音楽時代をつくってくださらぬか。お願いします。

今や日本の音楽界は好むと好まざるとを問わず、学生を中心とする素人音楽家によって力強く推進されているのである。だからそのうちの幾人かは賢明であって貰いたい。利口な若者の方が天才や天分よりもネセサリーである。何ならその人たちを後で天才として拝んであげてもよろしい。

どうすればよいのか?それは若杉さんのようなスツキリした音楽をやる人が後輩の利口な学生さんたちと考えてくださることであって、私のような老人に智恵はない。だから若い人にしがみつくのである。

また有馬がそれをいう、と皆さんは笑うけれど「ピーナッツ」嬢や「赤ちやん今日は」嬢を聴いて、私はその昔もっとウス汚ない声を出していたように記憶する。

第12回定期演奏会プログラム:共立講堂(63年12月15日)


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