記念資料集有馬語録)

楽友会に

有馬大五郎(楽友会顧問)


楽友会の合唱が実にうまくいっておる。私はこの合唱団の常に変わることなき発展を祈っているものの一人ではあるが、外から見てこんなにうまくいっている団体も少ないのではないか。先生方の芸術的、精神的の賜物であろう。拍手を送ります。第10回定期演奏会おめでとう。

それはそれとして、合唱する一人ひとりの歌は愉しいものである。倍音の中に自分の声が融け合ったときのうれしさ、これはどこでも味わえる境地ではありません。欠点だらけの声で独唱なんかやりたくなくなりますねェ。然し敢えて独唱がやりたい人も、この合唱の中で先ずご自分のお声をよく聴きそして眺めてからなさるとよいと思います。合唱は声の鏡とでも言えるものでしょうねェ。

こんなことが慶應ガールやボーイの中でもっと速やかに分かって貰えたら、第二、第三の楽友会ができるのではありますまいか。こうなるといいですねェ。

第10回定期演奏会プログラム(61年12月17日)


FEST