この合唱団にいつも感心させられることは、演奏企画に誤謬を犯さないことで、日本人の音楽生活の将来にも健康な見透しをつけていること、時には玄人はだしの感を受ける。
こんどもモーツァルトがある。日本には天才が出ない。理由は人間が出ないからである。モーツァルトのような人間が出るまで、ここの団員はモーツァルトを歌いつづけるだろうし、シューベルトでも純粋な学生の呼吸から、心あらたに、長短両調性の妙味を味わうことも今日の日本人には意義深いことであろう。
日本人といえば、我々は日本人であるが故に、何らの仲介物もなく、率直に日本の声を世界に聴かせて、外国人にその是々非々を問う。国際文化事業の第一歩である。津軽民謡もそのつもりで聴けというのであろう。ハイ、感心します。全く「背負うた子に教えられ」である。
第11回定期演奏会プログラム(62年11月11日) |