記念資料集有馬語録)

楽友会は楽友会らしく

 

有馬大五郎(楽友会顧問)


合唱界は今や空前絶後の隆昌時代に来たといってもよいでしょう。従って、中には、生活にマッチすると称して、いろいろと工夫を凝らした合唱の仕方や、作品が出現している。踊って歌うのもよかろうし、犬や狼のように吠えるのも面白い。併し合唱本来の面目は縦と横の構えに狂いなく、堂々と人間の声が響くことである。

歴史を誇る楽友会は、この真っ当な芸術音楽への理想と、立派な社会への立派な個人をつくりあげることをもってメンバー其々の音楽する目的とせねばならぬ。そのおもむくところ、その歌うところ、自ずと教養に裏づけられた、確りしたものであることを信じる。それは軽薄なものであってはならぬ。

楽友会は楽友会らしく、伝統ある学生音楽の「よいところ」を見せてもらいたい。

  第14定期演奏会プログラム(65年12月5日)


FEST