Editor's note 2008/12

爺:昔はな、卒業生が就職して、地方に赴任すると決まるとな、後輩たちが東京駅まで出かけて歓呼の声で歓送したものじゃった。そんなある時、ある男が関西にいくことになって、例のごとく後輩たちに囲まれて別れを惜しんでおった。そこに美しい乙女が来た。そしておずおずと「これを車内でどうぞ」と包みをさしだした。件の男はその娘に惚れこんでおったから、天にも昇る心地で東京を後にした・・・。

孫:そこにはラヴレターが入っていた、っていうんでしょ?

爺:それがな、「少年サンデー」と、刷り上がったばかりの「楽友」しか入っていなかった、ということじゃ。

孫:いいじゃん、気がきいてるじゃん。

爺:やはりお前はそう思うか。ところが昔はな、それには「あなたとおつきあいする気はありません。あなたにはマンガがふさわしい。でも、いい楽友でいましょ」という意味があったのじゃ。

孫:ん?わかんなーい。

爺:それもそうじゃ、今はマンガ読んでいるのを売りにして、総理大臣になる男がいる世の中じゃからな。でもな、その頃マンガ読む大人は世間の笑いものじゃった。だから、マンガ雑誌を贈られるなんて、最大の侮辱だったのよ。つまり、その男の恋は、それで一巻の終わりとなったわけよ。

孫:かわいそー!でもそれ、ホントの話?みんな随分うぶだったんだねー。それって誰?

爺:そんな詳細(ヨーサイと読むバカもいるらしい)なこと、もう忘れたよー・・・

孫:<アラ、そろそろ認知症かしら・・・>

★この1か月、編者は最長老の主催する「岡忠会」から現役の定期演奏会まで、忙しく駆けめぐりました。色々な人と会い、色々な話を聞きました。年齢幅は約60歳。最長老の年齢に近い編者は、昔の話はよくわかるのですが、若い人達とはどうもスムーズに話が進みません。それを嘆くと、いつも学生と接しているカッパ補佐は「それが時代の流れというもんよ」と半ばバカにしながら、それでもやさしく解説してくれます。

★今年もアッという間に過ぎ去ろうとしています。でも嬉しいことに、僅かながら東京の空に星が戻りました。子供の頃に覚えた、あれは明らかに「北斗七星」の内の四星です。公害時代に全く消えてしまった星影が、今また明るく輝いています。星の瞬きは永遠を感じさせてくれます。そうだ、時の流れに惑わされることなく、不変のものをみつめていこう!そういう元気がわいてきました。蛇足ながら・・・認知症の患者さんでも、歌は最後まで忘れないそうです。みなさんよいお年を!来年も「少年サンデー」ではなく、「楽友」をご愛読ください。(オザサ 12/07)

先月は本サイトが楽友三田会の公式サイトとなりました。私は始めからそのつもりでいましたので、何の変化もありません。偉そうなことを言っていると思われるでしょう。なに、編集長のスタンスも我輩のスタンスも何も変わりません。あるがまましか出来ませんからね。

10年位前だったでしょうか。丸の内の通りにイタリア製の豆電気の装飾が施されたことがありました。それが、最近では発光ダイオードが広まり、国内のいたるところでこのシーズンはイルミネーションで一杯です。


○○さんちのシミュレーション

電気代を心配していたら、ソーラー・イルミは電気代もいらないのだそうです。

つい2,3日前のことです。荻窪駅南口から「観光バス」ならぬ「関東バス」に乗っていました。私の後ろの親子の会話です。

父:○○さんちのシミュレーション、すごい綺麗だよなぁ?

子:?!★☆▽?!

吹き出すところでした。わたしは「シミュレーション」という本を書いたり、学校では「シミュレーション工学」という科目も教えているのです。私にも蛇足を言わせてください。92歳、認知症のお袋が、先週、本当に「もみじ」を唄っていました。自分の息子が判らないのに。(わかやま 12/07)


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