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ピアノ伴奏付きの歌曲集である『13の歌曲集』作品34は、1912年に完成していたのですが、14曲目に”Vocalise”が終曲として加えられたのです。この曲だけは歌詞をつけずに、メロディだけ書かれています。 ヴォカリーズとは、歌詞を伴わずに母音のみによって歌う歌唱法を意味します。 |
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名称はフランス語の動詞 vocaliser(声にする、声だけで歌う)の命令形 vocalise に由来します。母音唱法とも呼ばれます。 ラフマニノフがチャイコフスキーの薫陶を得たことはよく知られた話です。因みに、1942年にアメリカに渡り、70歳でロサンゼルスで亡くなっています。 昔、「コンコーネ」なんてやらされたのと一緒ですネ。声楽の練習曲なのです。 あのキリ・テ・カナワの”Vocalise”をどうぞ。
何とも、美しいですねー。譜面が見たいですかぁ?嬰ハ短調です。 そもそも、ヴォカリーズの起源は18世紀半ばにさかのぼり、ジャン=アントワーヌ・ベラールの編纂した曲集『歌の技芸』(L'art du chant, 1755年)だとされています。
上記の音楽用語Vocaliseに、言語名称などに使う接尾語「-ese」を組み合わせた造語です。 |
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ヴォーカリーズの創始者はEddie Jeffersonというピッツバーグ生まれのもともとタップダンサーだった男です。40年代になって歌と作詞をやりだしたのです。 エディがテナーサクッスのJames Moodyが吹いた"I'm In The Mood For Love"のアドリブ・ピースに歌詞をつけてしまいました。それを、King Pleasureが唄い"Moody's Mood For Love"と、もじったタイトルをつけて大ヒットしました。 これがVocaleseを世界に広く知らしめたのです。 |
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後半で女声が入って来ます。歌っているのは、少女のように可愛い声でピアノ弾き語りをするBlossom Dearieです。 彼女をお手本にする女声弾き語り歌手が2人います。その1人がオーストラリア、シドニーのJanet Seidelという歌手で、20年程前に初対面以来、仲良くしてきました。「歌詞が分からない」と言うと、すぐにメールで応えてくれます。ところが、去年の8月に62歳で病死してしまいました。ジャネットの実兄とパートナーから訃報メールが来てビックリです。 ジャネットはこの"Moody's Mood For Love"から刺激を受けて、「何時か、自分も歌いたい」と思ったのでしょう。当時、生存中だった彼氏のTom BakerとDuoで歌うことを考えました。そして、ジャネットがメインに歌い、Tomが後半で入ってくるという、男女の受け持ちをひっくり返したアレンジで吹き込みました。 タイトルは”There I Go Again”です。見事な出来栄えです。
ペロペロっと歌っています。譜面で見てください。 こんな細かい音符たちを歌の譜面で見たことないと思います。
ヘンドリックスは96歳まで長生きし、生涯、Vocaleseの歌詞作りを続けたのです。 1990年に珍しいCDが発売されました。印象的だったのは、1931年にルイ・アームストロングが吹き歌った”Stardust”に歌詞をつけ、ヘンドリックス夫婦で歌ったものを聴いてください。
(2019/9/7・わかやま) |
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