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当時、私や細川さんのほか、先輩の松本さんら東急大井町線沿線に住んでいる人が多く、“大井町コンパ”が度々開催され、私の下宿していたアパートにも夜な夜な誰かが来ては酒を飲むという毎日。そんな中、細川さんとは酒がなくても、炬燵に入って寝ころびながらLPレコードをかけて音楽を聴くだけで時間を過ごしたりしていました。 カール・シューリヒト指揮、ウィーン・フィルのブルックナー交響曲第8番を聞きながら「おー、オケがハモってる!」などと男二人で感動したり、細川さんが大学入学に際して購入されたというストラヴィンスキー「春の祭典」のスコアを見て唸ったり。黙っていても分かり合える、長年連れ添った夫婦のような不思議な間柄(笑)。 当時、武満徹の「うた」の何曲かが初演された時期で、東京文化会館での東京混声合唱団の演奏会に二人で聴きに行き、終演後、武満徹さん本人を捕まえて楽譜にサインしてもらったのを思い出しました。細川さん、あの楽譜まだお持ちでしょうか。 つい先日も、渋谷文化村でのN響「ウエストサイドストーリー」演奏会後、ばったり細川さんと出くわしたのも、ご縁というか、いまだに関心事が同じなんですね。
卒業してからも仕事をしながら音楽活動を続けている方は、細川先輩をはじめ、大勢いらっしゃるようですが、私はすっかり縁遠くなってしまいました。 鉄道ファンに“乗り鉄”と“撮り鉄”があるように、音楽にも自ら演奏する(歌う)派と、コンサートに足を運ぶ聴く派に分かれるんでしょう。私はもっぱら聴く派の生活。時々無性に「音楽したい」と沸き起こる気持ちはあるものの、仕事に振り回され、なかなか一歩を踏み出すことはできませんでした。
様々な国でワインが造られるのも、各国に作曲家がいるのと同じようなもの。ワインにはヴィンテージ、つまり年代物がありますが、年によって味が違うという時間軸は歴史にもつながる。横にも縦にも広がりを楽しめるところは、まさに音楽と同じなんだと思います。クラシック音楽が好きな人にワイン愛好家が多いのにも合点がいきます。学生時代、皆川達夫先生がワインがお好きで、授業でよく話題にされていましたが、その気持ちも今はよくわかります。
共通点のある音楽とワイン。いっそのこと、音楽を聴きながらワインを飲む、というのが究極に素敵で楽しいのではないでしょうか。じつは仕事で知り合ったチェンバロ奏者の曽根麻矢子さんは、シャンパーニュを供するサロンコンサートを年に何度か開催されていて、私も時々お手伝いしています。ワインがお好きな楽友の同好の士を集めて、ワインdeコンサートなんてイベントを企画するのもいいかもしれませんね〜 (2018/5/20・第32期学生指揮者 藤田信吾) バトンは33期の山岐真作君です。 ■ ■ ■ ■ ■ |
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