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最近の音楽番組を垣間見ていると、ピアニスト反田恭平(28歳)※(注)の活動の着眼点の良さ、活動範囲の広さに特別の興味を引かれることが多い。 反田恭平氏は言わずもがな、一昨年(2021年)の第18回ショパンコンクール第2位を獲得したショパン・ピアニストであり、それだけでも彼の演奏会は日本及び世界各地でびっしりと組まれている筈と思う。 しかし、最近テレビで目にする彼の活動範囲は、私の想像を超えて広く、深く、それらを何気なく自然体でやっているように見えるところに凄く引かれる。 恒例のウイーンフィル・ニューイヤー・コンサートでは、会場のウィーン楽友協会大ホール(Wiener Musikverein)で、リハーサルから本番まで聴衆として聴く一方で、NHKのLIVE放送のコメンテーターとして会場と特別室を行き来していた。同氏は元々、音楽を指揮者の立場で考えることに興味があることを、色々な場で発言しているので納得できる。この放映ではウイーンの同氏の自宅がちょっと紹介された。 一方で、同氏が奈良県に活動の場を広げているのは以前から知られていたが、先日の「題名のない音楽会」で彼の奈良での活動の一端が紹介され興味が沸いた。ホルンという楽器がヨーロッパ中世の貴族が鹿狩りに使う楽器だったことは知っていたが、同氏はホルンを奈良公園の鹿寄せに使うことを考えて実施してみたら、見事に鹿の群れが集まって来た情景が映された。更に、老舗の奈良ホテルには大正11年(1922年)にアインシュタインが弾いたピアノがあることは以前から知られているが、このピアノを使って演奏会に繋げることも披露された。
どちらも、目新しいことではないが、実際にこれまで誰も行動に移してこなかったことを、同氏は外連味なくさっさとやってしまう着眼点の良さと行動力に、私は特別の新鮮さを感じる。 奈良県はその歴史的価値の高さの割に、京都に比べて交通の便や道路の狭さ、宿泊施設の少なさ等で観光客数が少ないことが言われている。 しかし、同氏のような取り組みは奈良県の持つ本来の魅力を外部に発信するには大変に良い企画・発想であると私は思う。 直、同氏はJapan National Orchestra株式会社(以下、JNO)を設立している。工作機械大手のDMG森精機株式会社の出資により設立され、国内外で助成・支援活動を行っている一般財団法人森記念製造技術研究財団と、自らが代表を務める株式会社NEXUSの出資により実現。代表は反田氏とDMG森精機専務執行役員の川島昭彦氏が務め、反田氏とJNO所属ソリスト17名で構成される。JNOは、DMG森精機の創業地・奈良を本拠地に、持続的で発展的な音楽活動を行い、将来的にはアカデミーの創設も目指しているという。 現在の日本には将来を嘱望される若手音楽家が多く見られるが、その中でも反田恭平氏はその着眼点、活動範囲の広さ、実行力では驚くほどの動きをしているので、特に注目して行きたいと思っている。 ■ ■ ■ ■ ■
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