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法律等の立法趣旨と遡及効・不遡及の原則について
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これらの題目を見ただけでは、難しい話と思われるかも知れませんが、皆様の日常生活において直面する可能性がある内容ですから、ご一読いただき、頭の片隅に残しておいて頂ければ幸いです。 法律等の立法趣旨:その法律等がどんな趣旨で作られているかということ。 法律は遡及効を認めないのが原則(不遡及の原則)である。 これらに関連する案件として、タイムズ24がコインパーキングを設置することに関し、近隣住民との間に問題が生じたにも拘わらず、鎌倉市が設置を許可したことに、私が異議を申し立て、その結果私の主張が認められ、不許可になった事例をご説明したい。 平成28年4月、Aさんから、隣の空地にコインパーキングが設置されることになったがどうしたら良いかとの相談を受けた。その空地へ行ってみると、標識が設置されていた。 その標識には、「鎌倉市特定土地利用における手続き及び基準等に関する条例(以下、市条例という)第12条によりコインパーキングを設置する旨」が記されていた。 この標識だけ見ると、一般の人はコインパーキングの設置が認められたかの様に思われるだろう。 市条例第12条とはどんな条例かを調べたところ「特定土地利用行為者(市条例第2条 1 ウ:コインパーキングの設置は標識の設置をしなければならない」とある。同13条には「特定土地利用行為者は、近隣住民(同第2条 4 行為区域の境界線からの水平距離が15メートル以内において、土地を使用する者又は建築物の全部若しくは一部所有・・・)に当該特定土地利用の概要その他規則で定める事項を書面及図面を用いて具体的かつ平易に説明するものとし、その理解を得るよう努めなければならない」と記されている。 Aさんの話によると、タイムズ24(以下、業者という)が立ち話でコインパーキングを設置するに当たっての簡単な説明をしたという。 この土地の近隣住民はA,B,C,D,E の5者で、Eは建物がなく空地である。 業者を呼んで、近隣住民A,B,C,D,E の5者に説明したかと尋ねたところ、Eは空地で居住していないので、まだ説明していないという。 後日、業者と市を呼んで話し合いをした時、我々の居住地には「住民協約」(平成元年鎌倉市に届出受理)があり、「・・・・・店舗については開設出来ない旨」が記されていると業者に話したところ、業者は、店舗ではないコインパーキングの設置は否定されてないという。 そこで私が、この協約の立法趣旨は、居住地において店舗は不特定多数の人が日夜出入りし、住民の生活環境を脅かす恐れがあるからダメ。当然コインパーキングもダメと説明した。 例えば、公園に「犬の散歩はご遠慮下さい」と書かれている場合、ヤギならよいのか?つまり、犬は糞尿をして公園の環境を損なう恐れがあるからダメという訳で、ヤギは書いてないが当然ヤギもダメということであると説明。 業者「・・・・・・・・・・」 しかし、驚いたことに市は「住民協約は法律的拘束力がない」と主張した。 その後、業者に第1次許可が下りたと耳にしたため、Aさんと私で市役所へ行き説明を聞いた。市は近隣住民のA,B,C,Dに説明が完了したので許可した。Eには後日配達記録で説明義務を果たしたので問題はないという。 私から「Eへの説明は許可の後なので、遡及効がない」というと、市は(遡及効の意味が分からないらしく)そんなことはない、と反論。 それから数カ月後、業者が「市の最終許可が下りたので、来週からコインパーキングの設置工事を行う」との挨拶があり、当該空地に資材が運ばれてきた。 驚いて、Aさんと私で市役所に出向き、会合を持った。 私から「このまま建設が進んだら、大変なことになりますよ!」と捨てぜりふ言って市役所を後にした。 それから2日後、市から「許可は取り消しました」旨の連絡が入った。 市が弁護士に「遡及効」についての話を聞いたのではないか。 行政行為の瑕疵(かし)が身近に起きるとは考えてもみなかった。 (2023/9/4) |
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