曇天の日吉キャンパス。土曜日にも関わらずテスト前のせいか授業ノートや過去問獲得のため、多くの学生が日吉キャンパスを歩いている。塾生会館と食堂棟の間の道を歩いていると、普段は学生の話し声しか聞こえない食堂から、とてもきれいな歌声が聞こえてきた。どこかで聞いたことがある・・・
そうだ、確か「若き血」だ。思わずそちらを見てみると老若男女入り乱れて肩を組み合い、実に楽しそうに歌を歌っている。親と子、いや、孫といっても通りそうな幅の広い年齢層の人達だ。しかし、不思議なもので、笑顔で歌うこの人達は皆、青春を謳歌する同志に見える。自分でもなぜだか分からないが笑みがこぼれてきた。この人達はきっと、とても強い絆で結ばれた同志なんだろう。天気の悪い日に大学に来るのも悪くないな、と思った。
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以上、食堂前をたまたま通り過ぎた一般の方の気持ちを想像の羽を存分に広げて妄想させていただきましたが、あながち大はずれではないような気がいたします。それほどに、今年の交歓会は素晴らしいものであったように思うのです。
私は交歓会開始前、食堂入口前にて道のご案内をしておりました。多くの人が往来する並木道の中、楽友会のOB・OGの方だけなぜか判別できたのはやはり楽友という団体によって得られた不思議な絆のおかげでしょうか。皆さん笑顔で「ご苦労様」と声をかけてくださり、心温まる思いでした。
会場に戻ってみると既に会は始まっており、先輩方の、現役生と楽しげにご歓談されたりご旧友と思い出話に花を咲かせるお姿が目に飛び込んで参りました。私もテナーの大先輩方とお話させて頂き、かつての楽友会の様子を拝聴いたしました。毎年のことではございますが、自分の背負う「56期」という肩書きの年月の重さをひしひしと感じました。

現役の披露演奏(指揮:斎藤 彬(55期))

全員合唱
今年は私にとってこれまでの交歓会とは違う出来事が一つございました。それは、山口貴志(55期)、梅津直比古(56期)と私・板垣淳也と松浦壮志(57期)の高校時代の恩師、そして楽友会OBでいらっしゃいます千綿正洋(39期)先輩が交歓会にいらっしゃったことです。
最初、先生が楽友会に属していたという話を耳にしたときは、なかなか実感がわかず、正直に申しあげますと、今回交歓会でお会いできて初めて実感できたといっても過言ではございません。しかし、千綿先生の在団時代のお話を聞かせていただく内に、今も昔も楽友会は楽友会のままなのだなと感じました。これからもこのようなつながりを大事にして、楽友会の素敵な魅力を後輩に語り継げたらと思いました。
しばらくすると参加者を3グループに分けてのグループ対抗合唱大会を行うゲーム企画が始まりました。現役副学生指揮者、橋本亜依(56期)が指揮する「夢路より」チームの優勝でこのゲーム企画は幕を閉じましたが、小笹和彦(4期)先輩指揮の「我いかで世のことを問わん」、舟山幸夫(8期)先輩指揮の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の2チームも含めてどのチームもお世辞抜きで素晴らしい演奏でした。
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グループ対抗合唱コンクール |
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Aチーム(指揮:橋本亜衣(56期))

Bチーム(指揮:小笹和彦(4期))

Cチーム(指揮:舟山幸夫(8期))
何よりも参加者皆さんの一人一人の顔がとても楽しそうであったのが印象的でした。これが合唱の醍醐味だなと感じずにはいられない、とても素敵な時間であったように思います。
このことはこの後に皆で肩を組み合って大合唱した日高好男(14期)先輩指揮の「青春讃歌」、伴博資(11期)先輩指揮による「若き血」を歌っている最中にも感じたことです。きっと食堂の従業員の方や、カーテンの向こう側で勉強していた学生達にも、何かただの合唱以上のものを感じとってもらえたのではないでしょうか。

肩組み合って

親子以上の齢の差です
最後になりましたが、この度の交歓会のため日吉までご足労いただきました先輩の皆様に、現役を代表いたしまして改めまして心より感謝申しあげます。来年以降もこのイベントが、これまで以上に楽しく、素敵な恒例行事になっていくよう現役一同努力して参りますので、引き続き我々現役の活動を応援していただければと思います。また先輩方と、笑顔で肩を組みながら大合唱できる日に想いを馳せつつ、この記事を締めさせていただこうと思います。

現役幹事: 室谷茉友子(56期・女性庶務)
出席状況は以下の通りとなりました。
参加者:
来賓: 岡田忠彦(名誉指揮者兼会長)ご夫妻および大西公平(大学楽友会会長)教授=3名
会員: 現役大学生46名+三田会員51名=合計100名
案内状送付と出・欠返信状況:
往復はがき発送枚数: 954通
内返信のあったもの: 325通(返信率 約34%)
日時など:
7月11日(土)17:30〜 於:日吉・生協食堂(引き続き日吉の酒場で、深更に及ぶ2次会)
出席者合計が3桁に達したのも三田会の皆様が足をお運びくださったおかげです。誠に有難うございました。今年の交歓会もいろいろと反省点はありますが、少しでも先輩の皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
なお、この交歓会の案内状の返信率ですが、最終的に34%にとどまってしまいました。往復はがきでのご案内は経費がかさむとのお声もあり、来年以降の案内状のメールでの送信を現在検討中です。来年に向け、よりよい形で皆様にご案内できればと思っております。

交歓会に参加して
千綿 正洋(39期)
過日開催された交歓会に、数年ぶりにたった一人で参加しました。いつもは、同期やその周辺に声をかけ、ないしはかけられ、何となく参加し、しかも、その会の後の自分たちの2次会に顔を出すのが主な目的なのですが・・・。
今年は、誰からも声はかかっていませんし、私からも声はかけませでした。なぜなら、私の現役時代の悪行の数々を「彼ら」に伝えられてはかなわないからです。
「彼ら」というのは私の教え子で、かつ高校の後輩で、しかも楽友会の後輩でもあるという、非常にややこしい深い関係のある諸君のことです。実は、現在の現役生の中に4名、私の勤務(出身)高校である聖光学院(甲子園で有名な福島の学校とは一切関係ありません・・・念のため)の卒業生がいます。そこで今回私は単身、「彼ら」の顔を見るためだけに、日吉キャンパスへと足を運んだのです。

千綿正洋君(39期)と教え子(松浦、梅津、板垣、山口)の諸君
銀杏並木を歩きながら、懐かしさもあるのですが、それ以上に緊張しました。この種の会合に一人で行くのは、やはり度胸のいるものです。もちろん参加されているであろう大先輩方も存じあげないわけではありません。なぜなら三田会合唱団の先輩方は、私が現役時代に渉外担当幹事としてこの交歓会を主催していた頃からの、常連さんでしたから。
右手に建ちあがった見慣れぬ建造物を横目に、食堂棟に歩を進めると、早くも彼らの姿を見受けることが出来ました。同時に、あちらこちらから「先生!」と呼ばれ、少々ばつが悪くも感じられました。が、気がつけば楽友会の「彼ら」だけではなく、たまたま生協食堂に居合わせた、全く別の教え子がさらに3名もそこにはいたのです。
私は三田教育会の一員でもありますが(正確には会費未納のためクビになっています・・・)、優秀な人材を(東大や早稲田ではなく)慶應義塾へ送りこむという、会から課せられた裏目標の達成に、そこそこ貢献しているなぁ、などと思った次第です。
会場へ入るまでは、誰も同年輩の人はいないだろうと思っていたのですが、私が現役の頃には「神」と崇められたテナーの大先輩、34期の奈良井氏のお姿が目に飛びこんできました。もちろんグラス持参でご挨拶に参上し、バブル華やかなりし頃、学生の常識でもあった(今では非常識の極みでしょうか・・・)一気飲みで再会を祝し、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
また例年の交歓会ではお見かけすることが少なかった岡田先生ご夫妻にご挨拶ができたのも、自分としては予想外で嬉しい出来事でした。途中でご退席されましたが、できれば岡田先生の指揮で青春讃歌を歌いたかったものです。
教え子の「彼ら」が、こうした貴重な機会を私に与えてくれたのかなぁ、と思い、改めて感謝の気持ちが高まります。ですから、その感謝の思いをこめて、今年こそはぜひ定演に足を運び、特に教え子の一人でもあるベースのパートリーダー山口君のソロへ「ブラボー」の嵐を浴びせかけたいと思っております(実際には叫ばないと思いますが・・・)。
会は、料理や飲み物も豊富で、しかも会費が安く驚きました。アトラクションで歌うのは昔からですが、現役合唱が大変上手で驚きました。私たちが現役の頃、アンサンブルを披露すると、三田会合唱団の先輩方から「ずいぶんヘタクソネェ」と厳しいご感想を頂いたのとはえらい違いです。
また参加者をグループ分けして、課題曲を練習して歌うという、夏合宿のコーラス・サロンを思い起こさせる心憎いアトラクションまで設けられ、私のグループはアヴェヴェルムコルプスを歌うことになりました。「歌えるわけないよ・・・」と思っていたのですが、楽譜を追っていたら意外にも歌えてしまったことに、またまたビックリ。体に染みついているものがあるんですね。
「2次会は、ヒヨウラのタツキチー」、と懐かしいアナウンスが会の終わりに流れました。教え子の「彼ら」と旧交を温め、記念撮影をした後、昔では考えられないことですが、奈良井先輩とともに守りに入った私たちは、2次会へは行かず静かに日吉を後にしました。
最後に、こうして交歓会の感想文を書けば、本来「楽しい会合だから皆で参加しよう」と呼びかけるべきなのだとは思うのですが、やはり難しいかと思ったのも事実です。
30〜40期代の参加者は奈良井さんと私の2人だけで、他は三田会合唱団の方々と、卒業したての50期代が三田会参加者の中心でした。往復はがきの返送率もはかばかしくないようですし、何か考えなければいけないのではないでしょうか。
→こんな風にすぐ問題提起をしてしまうのは渉外担当幹事をやっていた頃からの悪い癖で、素直に「楽しい時間を有難うございました」とだけいえれば、私の現役時代ももっと充実していたのかもしれません。
追伸 芝学園勤務時代の教え子である48期のH君、お元気ですか?(8月5日)
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